“叱らない子育て”の真意について考えてみよう
育児の方針は人それぞれ異なって当然のこととは思いますが、最近では厳しく躾ける子育てよりも、優しく子供の行動を受け入れ「叱らない子育て」を推奨することが多くなっているかもしれません。一方で、甘やかしではないか、単に叱ることができない親になっているのではないか、という疑念を抱く方もいらっしゃることでしょう。
今回は賛否両論ある「叱らない子育て」の真意について考えてみたいと思います。
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叱らない子育てを誤解している人が多いために賛否が噴出
そもそも叱らない子育てってどんな育児法なのでしょう。
子供が何か失敗をしても感情的に怒鳴りつけたりせず、なぜそうなったかを知り、受け入れて、子供に自発的な気付きや成長を促す。というのが基本的な考え方だと思います。
ところがこれを、「子供の思うままさせる」「放任でよい」などと誤解をし、躾をおろそかにしてしまう親が少なくないために、叱らない子育てに対し疑問を持つ方も出てきてしまっているのではないでしょうか。
叱らない子育てには忘れてはいけない前提条件がある。
叱らない子育てに限ったことではないのですが、いろんな育児法を実践する前に、心にとめておかなければならないことがあります。それは「子供は親の鏡」であるということです。
子供は親の行動パターンを学び、それを実践するというのが原則でありますから、子供にこうしてほしいと思う事は、まず親が日ごろの生活の中で実践していなければなりません。子供にやさしい心を持ってほしければ、親が寛容にならないといけませんし、お友達を作られるようになってほしければ、親が一人ぼっちになっている人に声をかける姿をみせてあげなければいけません。
子育てに絶対的なルールや近道がないからこそ、親のモデルという下地が必要不可欠なのです。親自身が子供の手本となることをおろそかにして、手っ取り早く効果のありそうな「育児法」に頼っていれば、結果は「野放し育児」になってしまうでしょう。
叱らない子育ては段階を踏む子育てでもある。
また、叱らない子育ては単純に優しく接するだけではなくて、言い換えれば「子供の発達段階を見極めて、原因と結果を知り、そのうえで必要なら叱る」子育てとも言えます。
例えば、”ある子供が自分のおもちゃを独り占めして友達がそのおもちゃで遊びたいと言っているのにまったく貸そうとしないでいるとします。”この場合、「なんで貸してあげないの?いじわるしないの。」と叱っても全く効果はないでしょう。
ここで本来の叱らない子育てですべき行動は、”なぜその子が貸したくないのかを知ること”です。そのおもちゃを独占したいのかもしれませんし、そのお友達がおもちゃを壊してしまわないか心配なのかもしれません。おもちゃを独占したいと思っていても、そのおもちゃがその子の所有物である限り、その子に独占する権利があるわけですから叱る必要はありません。お友達に「それはこの子のおもちゃだから他のもので遊ぼうね。」といえばいいのです。そうすれば、おもちゃの持ち主である子は満足し、その後に「人に自分の物を貸し与える」という段階に進めるのです。
ですが、おもちゃが共用物である場合はそうはいきません。共用の物を個人が独占することは良くない行動ですからその時に「これはみんなで使うためにあるおもちゃなんだよ。」と理解させる必要があります。まずはお家の中で親が子供に行動で示し学ばせ、やがてお外へ出てお家とは異なるルールがあることを学んでいくのです。
人には個々人の成長や発達の過程があり、社会には色々なルールがあります。それを少しずつ段階をふみながら子供にわからせる。そのためには、親の時間的な都合や感情で急かしたり、恫喝したりしてはいけないのです。
それこそが「叱らない子育て」の真意なのだと思います。
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