早期教育を考えるママ必読!教育学から見る子供の成長
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しつけ・教育の悩み
幼児期の早い時期から受ける学習を早期教育といいます。今では2才頃から英語や音楽、体操教室に通っている子もいます。それらの是非を問うわけではなく、それらが子供にどんな影響を与えているのか、教育学の有名な二つの実験をもとに考えてみたいと思います。
ローレンツの刷り込みの実験
オーストリアの比較行動学者ローレンツがヒナ鳥を使った実験をしました。ローレンツの目の前で孵化したヒナが彼のことを母親だと思いこみ、彼の後をついて回ったというものです。
この思いこみを「刷り込み(インプリンティング)」と名付け、それは生まれてすぐに目にした動くものを親だと思い込む現象だと定義付けました。また、ローレンツはその刷り込みができる時間が非常に短い期間であることも見つけました。このように生物がある能力を身につけるための時期を「臨界期」と呼びます。
人間の臨界期
ローレンツの実験においては「ヒナが親を認識する臨界期」について述べましたが、生物の種類やどんなことに作用するかによって、臨界期は異なります。
たとえば、人間の「ことば」についての臨界期は、生後約6カ月から神経回路の組み換えが始まり、12才前後で終わると言われています。また、五感の中で聴覚が一番早く臨界期を迎えるとも言われており、「絶対音階」は4才頃、「バイリンガル」は5才頃までじゃないと能力を開発できないと言われています。
こうしたことから、「早く教育をしなければ」「より小さいうちに習わせなければ」と教育の早期化が進んできました。
これらから早い時期からの教育が効果をあげるであろうことはわかります。しかしその一方でおろそかになりがちなことも考えてみたいと思います。
ハーロウの代理母実験
アメリカの心理学者のハーロウは生まれて間もないサルに「哺乳瓶をもっている針金の人形」と「哺乳瓶を持っていない布製の人形」の二体を与えました。すると、お腹が空いた時には針金の人形のところに行くが、それ以外の時には布製の人形のところに行くという行動パターンがわかりました。こうしたことから動物はあたたかな感触、つまり「ぬくもり」を欲するものだということがわかりました。
子供には愛着とスキンシップが必要
ハーロウの実験から、動物は食欲や睡眠といった生理的な欲求を満たせればいい、というものではないことがわかりました。だから、母という存在は、食事や排せつの世話をし、教育の場への送り迎えだけすればいい、という事務的役割だけではいけません。
子供と寄り添い、抱きしめ、やすらぎや刺激を与える存在ではければいけないのです。早期教育を子供に与える場合、そうした母としての役割がきちんと担えているか確認しながら行う必要があると思います。
まとめ
ハーロウの実験には実はつづきがあります。二体の人形を与えられた子サルは大きくなってから異常行動をとり、正常に育たなかったのです。
検証をつづけ、体をゆすることのできる人形に改良したり、他のサルとの遊びの時間を設けたりしたことで、やっと正常な成長を確認することができました。
つまり、健やかに育つためには「スキンシップ」「親の動き」以外にも「遊び」も必要なのです。
早期教育を受けさせることによって、他の子にはない学習機能が発達することがあるでしょう。しかし、そのことで、子供の成長のベースとなるところが漫然としてはならないのです。
世間では「小さいうちから勉強させてかわいそう」と言われることもあるかもしれませんが、そんなことはどうでもいいことです。自分の子供にとっていいと思えることを与え、そして母としての自分の役割をきちんとなせるのであればいいと思います。
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